ハマる定義
時計を見るともう約束より30分以上過ぎていた。「ちぇ、やっぱりまたサクラか・・・」車のエンジンをかけようとした時待ち合わせ場所のはずだった電話ボックスの後に設置している自動販売機の陰にチラッと赤いに白い水玉模様の傘見えた。慌てて車を降りて傘を開きながら走る。そして、そ知らぬふりをして電話ボックスの前に立つと、ゆっくりとこちらに向かってくる彼女が視線に入ってきた。ロングのフワフワしたスカート、ブラウスにカーディガン。小柄で細身、黒髪は軽いウェーブで肩まで、外見はいかにも普通っぽい若奥さんと言った感じ。雨だからと車の中で待っていたのが失敗だった。お相手は先に待っているこっちの姿を確認したかったらしい。素人の女性なら無理のないことと思う。少しは離れた場所に立ち止まった。
当然男から声をかけるべきだろう。「あやさんですね?」「・・・・」チラッとだけ眼を合わせて軽くうなずいてすぐうつむいた。メールで教えてくれた26歳より若く見える。それに化粧は口紅とファンデーションだけと思うが、色白で、取り立てて美人ではないが全体に小ぶりな感じにまとまっている。あどけなさが残っていて、僕の好みのタイプのひとつだ。しかし最初の彼女の言葉は「すみません、会うのが遅れたので時間がなくなってしまいました」かなり落胆したが気を取り直して30分だけ車の中で話だけすることになった。口数の少ない若妻であまり会話は進まないが、徐々に最初の重い空気は薄らいできた。車内はいつもの汗臭さがなくなり彼女のおそらく柔軟剤のものと思うが、ほんのりいい香りが漂っている。おのずと気持ちが高ぶってくる。
僕は唐突に「メールでは細身とは書き込んでいなかったですよね?」「えっ細くなんかないです・・・」とちょっと顔を赤らめてうつむいたしぐさに時として犬のように鋭くなる中年男の嗅覚が働き彼女のかすかなMっ気を嗅ぎとった。試しに思い切って「ほら肩の肉なんかほとんどないですよ」助手席にお行儀良く座っている彼女の右肩を軽く掴んでやさしく撫でてみる。細いがふんわり柔らかい肩だ。彼女は全く抵抗するそぶりも見せず、それどころか身をすぼめ、眼を閉じますます顔を赤らめていった。そして小さめで少し厚い潤いのある唇から漏れそうになる溜息を、必死に押し殺しているようだった。やはり!すばやく彼女の細い体の左肩を掴んで今度は少し乱暴に引き寄せた。